基礎数学 - BMCSlabfukumura/Control/BasicMath1026.pdf · Spring-mass-damper system...
Transcript of 基礎数学 - BMCSlabfukumura/Control/BasicMath1026.pdf · Spring-mass-damper system...
基礎数学Basic mathematical knowledge
システムの数学的な記述• ここまでは、各システムは入力の定数倍を出力するシステムと仮定
• 実際に制御したいシステムはこのような単純なシステムであることは稀
Gx Gx
1
例:機械振動系Mechanical vibration system
バネとダンパでつながれた物体の動きをモデル化
ダンパ・質量・バネ系Spring-mass-damper system
運動方程式Motion equation
ロボットアームなど、他の運動方程式も一般に2次の微分方程式
2
例:電気回路システムElectric circuit system
抵抗、コンデンサ、コイルによる回路システム
直列RLC回路
この他にも熱伝導方程式など、多くは微分方程式で記述
システムの等価性
違うシステムであるが同じ微分方程式で表される
=
R L
eo(t)ei(t)i(t)
C
ei(t) = LCd2eo(t)
dt2+ RC
deo(t)
dt+ eo(t)
3
システムのモデルModeling of system
• 一般に制御対象のシステムは時間に関する微分方程式で表される
• システムの性質の仮定1. 因果性2. 時不変性3. 線形性一般のシステムは満たさないが、近似的には成り立つと仮定して、システムを線形微分方程式で表す
線形微分方程式Linear differential equations
4
線形微分方程式Linear differential equation
次のような形式の微分方程式を考える
ただし、係数ai , biはすべて定数
線形微分方程式で表されるシステムについて考える
5
ディラックのデルタ関数(単位インパルス関数)
0
1
a� 0
a � �d(t)はt=0のときだけ値をもつので
�(t) =
�� t = 00 t �= 0
� �
���(t)dt = 1
� �
��f(t)�(t)dt = f(0)
インパルス応答Impulse response
6
インパルス応答Impulse response
• 単位インパルス関数d(t)をシステムに入力したときの出力をg(t)とする
• インパルス応答がg(t)であるシステムへ任意の入力x(t)を入力したときの出力y(t)を求めたい
システム
7
線形時不変システムを仮定時刻t=0で単位インパルス関数に対する出力がg(t)ならば,
時刻t=tでのインパルス関数d(t−t)に対する出力はg(t−t)
システム
システム時不変なので時間がずれるだけ
g(t � �)
インパルス応答Impulse response
8
インパルス応答Impulse response
このシステムにx(t)d(t−t)を入力すると、重ね合わせの原理より出力はx(t)g(t−t)
この入出力をtで積分する
システム 重ね合わせ
システム
この積分は?9
• 単位インパルス関数を使うと� �
��f(t)�(t)dt = f(0)
� �
��f(t)�(t � �)dt = f(�)
� �
��f(�)�(t � �)d� = f(t)
変数を入れ替え
単位インパルス関数の性質Features of an impulse function
10
システムからの出力の求め方How to calculate the output from a system
システム
x(t) y(t)インパルス応答がg(t)であるシステムにx(t)を入力した場合
と書けるので出力y(t)は
で求められる
y(t) =
� �
��x(�)g(t � �)d�
たたみ込み積分Convolution
11
インパルス応答g(t)がわかれば、たたみ込み積分により、任意の入力に対する出力がわかる
– 実際の入力はt < 0においてx(t)=0– 因果性からインパルス応答はt < 0においてg(t)=0なのでg(t−t)が値を持つのはt < t。(t > tの応答は時刻tの状態に影響を与えない)
– つまり出力を求めるときの積分範囲は[0, t]のみ
たたみ込み積分による出力Output calculated by convolution
12
� � = t � � と変数変換すると,d� �
d� = �1, � = �のとき � � = ��y(t) =
� �
��x(�)g(t � �)d�
= �� ��
�g(� �)x(t � � �)d� �
=
� �
��g(� �)x(t � � �)d� �
=
� �
��g(�)x(t � �)d�
y(t) = x(t) � g(t) = g(t) � x(t) と記述する積分範囲を [0, t]とした場合も � = 0のとき � � = t,� = tのとき � � = 0であるので,同様に入れ替え可能
g(t)と x(t)を入れ替えても良い
たたみ込み積分Convolution
13
システムからの出力を解くには?How do you solve the output from the system?
• あるシステムに任意の信号を入力したときの出力を解くには?
を解く必要がある
ü線形微分方程式üたたみ込み積分
14
ラプラス変換が有効
ラプラス変換Laplace transform
• ラプラス変換 Laplace transform
• 逆ラプラス変換 Inverse Laplace transform
F (s) =
� �
0f(t)e�stdt = L [f(t)]
f(t) =1
2�
� �0+j�
�0�j�F (s)estds = L�1 [F (s)]
15
ラプラス変換対表Table of Laplace transform
• 制御工学ではラプラス変換の積分を解くことが目的ではなく、ラプラス変換を使ってs領域で出力を求めることが重要
• 従って、次のようなラプラス変換対表を用いる
16
ラプラス変換対表(その1)Table of Laplace transform (1)
17
ラプラス変換対表(その2)Table of Laplace transform (2)
18
ラプラス変換の定理Theorem of Laplace transform
• 加法定理 Addition theorem
• 定数倍 Constant multiplication
19
ラプラス変換の定理Theorem of Laplace transform
微分(n階微分) Differential (n-th order differential)
ただし
20
ラプラス変換の定理Theorem of Laplace transform
積分(n階積分) Integral (n-th order integral)
21
ラプラス変換の定理Theorem of Laplace transform
• たたみ込み積分 Convolution
• 時間遅れ Time delay
– もとの関数f(t)に比べてtだけ遅れた関数f(t-t)
• 最終値定理 final-value theorem
システムの定常状態を求めるために、時間領域でt→∞を求めなくても、周波数領域で求めることができる。 22
システムからの出力の求め方How to solve the output from a system
インパルス応答がg(t)であるシステムにx(t)を入力
Y(s)を逆ラプラス変換すれば出力y(t)が求められるラプラス変換した表現では、入力にG(s)を乗じた出力
⇒ 定数倍を仮定した場合と同じ関係
システム
x(t) y(t) =
� �
��x(�)g(t � �)d�
すべてラプラス変換すると
システム
X(s) Y(s) = X(s) G(s)
23
ラプラス変換による微分方程式の解法Solution of differential equation using Laplace transform• 表に載っている形式であるならば、表を使うことによって容易にラプラス変換が可能
• 特に線形微分方程式ならば、微分要素をsに置き換えれば良いので、多項式になるただし初期値の項は無視
ラプラス変換
24
• 線形微分方程式の場合、ラプラス変換すると解は多項式の比になる
• この右辺も表に載っていれば、逆ラプラス変換をすることで、容易にy(t)が求められる
• 載っていない場合(より一般的な場合)の解法は?
ラプラス変換による微分方程式の解法Solution of differential equation using Laplace transform
部分分数展開
y(t) = L�1 [Y (s)]
25
• 線形システムのインパルス応答g(t)が判っていれば、ラプラス変換を用いて任意の入力に対する応答(出力)を求めることができる。
• 例えば、単位ステップ関数u(t)を入力したときの出力(ステップ応答)を求める
u(t) =
�1 t � 00 t < 0
例:ステップ応答Step response
26
RL回路のステップ応答(t=0でスイッチを入れたときの電流)を求めるインパルス応答は
ラプラス変換すると
ステップ入力u(t)のラプラス変換が
なので
例:ステップ応答Step response
g(t) =1
Le� R
L t
G(s) =1
L· 1
s + RL
U(s) =1
s 27
t=0 R
E
入力はEu(t)
i(t) L
ステップ応答y(t)のラプラス変換は
部分分数展開したときの係数A, Bを解く
部分分数展開
ステップ応答Step response
28
部分分数展開 (partial fraction expansion)
つまり
ステップ応答はラプラス変換表を用いて求められる
29