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機 械
金属・鉄鋼・
非鉄金属
化学・繊維・
素材・医薬
電機・電子・
精密機器
金融・商業
運輸・建設・
輸送機器
ガス・その他製造
社是・理念
八田 明彦氏
代表取締役
「積小為大」創業以来「誠実なものづくり」の社風で培われた琴線に触れる対応を常に心掛け、愚直な積み上げの大切さを説いた言葉である「積小為大」の精神を堅持し、お客様にとって必要とされる会社であり続けることを目指す。
顧客本位の対応が�
好循環生み出す磁石商社
㈱二六製作所
二六製作所は1
940年、由井二時三郎氏が東京都台東
区で軍用機の計器に用いる磁石メーカーとして創業した。
その後数年で2代目社長の由井譲氏が事業を承継、50年に
滋賀県大津市に本社、工場を構えた。だが磁石製造は需要
の伸び悩みや材料のレアアース調達を中国に頼らざるを得
ないこともあり、厳しい採算を強いられた。このため歯科
材料製造に参入。磁石に関しては製造から撤退し、仕入れ
販売へと姿を変えていった。現在は1
9
0
0種類の磁石を
取り扱う商社として確固たる地位を築いている。
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現社長の八田氏は由井譲氏の娘婿にあたる。大学卒業後、
住宅メーカーで注文住宅の営業で成果を上げ、38歳の若さ
で取締役に就いていた。転機は2
0
0
2年、義父で先代社
長の由井譲氏が倒れ、2日後には逝去。二六製作所の社内
には後継者候補がおらず、3代目社長に義母の由井美代子
氏が就任。娘3人の夫に後継が打診された。
■
突然の承継を機に事業を再構築
当時の八田社長には、同社を継ぐことは念頭になかった。
しかし、会社の様子を見るとトップの急逝にも関わらず、
それまでどおり仕事を続けねばならない社員の姿があっ
た。その姿を見て「自分が背を向けると会社が成り立たな
い」との思いが込み上げ、引き受けるしかないと腹をくくっ
た。専務として妻とともに入社し、06年に社長に就任した。
就任後、八田社長は神戸市内の自宅から大津市まで長距離
モノづくりを行っていた頃の本社工場(滋賀県大津市)
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輸送機器
ガス・その他製造
1900 種類もの磁石を取り扱う
通勤を続けながら、衰退していた会社の立て直
しに心血を注いだ。歯科用金属材料製造はセラ
ミックスの需要が増し、金属需要が減るという
見通しと、医療事故へのリスクを考慮して撤退。
事業を再構築し、本社を神戸に移転し、磁石商
社として再スタートを切った。
本社は神戸市内・旧居留地の洋風建築の立派
なビルに構えた。八田社長は「宣伝効果に加え、
社員が誇りを持てる」と狙いを語る。ホームペー
ジには磁石に関する情報を満載し、顧客からの
問い合わせには丁寧に答える。同社にとっては
「当たり前」だが、現代のネット社会では「神
対応」と話題になり、拡散していく。「小さい
けれど奇をてらわずにやっている会社に」とい
う思いが、好循環を生んでいる。
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会社概要
長寿のひけつ
所 在 地:神戸市中央区海岸通 3 神戸海岸ビル 7階電 話 番 号:078-392-2126創 業 年 月:1940年 1月事 業 内 容:�永久磁石および永久磁石関連商品の加工・販売
URL:https://www.26magnet.co.jp/
八 田社長は経営を承継するだけでなく、サラリーマン時代の経験を生かして自分の考えに基づいて会社を変えていった。顧客満
足を得るための商売を徹底し、顧客に直接対応する社員の働きやすさも追求。「薄暗い倉庫のイメージは働く人の意欲も喪失させる」と倉庫を本社オフィスに隣接したガラス張りの明るいスペースにした。改革は自身だけでなく会社そのもの、社員らの運命をもガラリと変えた。
事業承継にとどまらぬ経験を生かした改革
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